労働環境の改善が急務

介護保険制度が施行されて以来介護士の数は年々増え続けているのですが、それでも数は足りず人材不足が否めません。つまり需要が供給に追いついていないのが現状と言えるでしょう。その一番大きな理由として挙げられるのが少子高齢化で、これに関しては介護業界ばかりでなくどの業界も抱える問題とも言えます。しかし出生率が低下して生産年齢人口そのものが減っているにもかかわらず、高齢者の数は年々増加の一途をたどっているのです。

第1次ベビーブーム期とされる1949年から1947年の間の年間出生数は約270万人で、第2次ベビーブーム期と言われる1974年から1971年までの出生数は約210万人となっています。しかしそれ以降の出生数は減少する一方で、日本の働く人口である15歳から65歳までの生産年齢人口が今後増える見込みを楽観的に捉えることはかなり難しいでしょう。この現状を踏まえてどうやって介護士を確保するのかという問題に関しては、既に政府の介入が急務なのです。

厚生労働省は、介護士の人材不足という大きな課題に対して、「労働環境・処遇の改善」という施策を打ち出すことで人材確保に乗り出しています。2015年度には介護業界に対して90億円の予算を投じ、この施策によって介護士1人あたりに対し月額1万2000円相当の賃金改善がなされましたが給与総額としては23万円程度に留まっています。

介護士の賃金を上げようとした場合に直面する事実として挙げられることですが、介護保険の負担増という金銭面の問題が避けられません。このことがネックとなって、介護士の給与額に対しての不満を解消できる労働環境の改善には至ってはいないのです。